昨日、ジムニー用エアロッカーの開発秘話を書きましたが、その際、4x4IMPSの関根社長様が執筆されているブログ ”ハートに火をつけて” にリンクを貼らせて頂きました。
その時、ブログの中に新型エアロッカーの内部構造に関して、素晴らしい解説が書かれている事に気が付きましたので、今回是非とも御紹介させてください。
関根社長様のブログの中では、実際に新型エアロッカーを分解して、写真入りで説明をされていますが、これが実に分かり易い解説になっています。
詳細は下記リンクをクリックしてください。
ハートに火をつけて
(更に、エアロッカーだけでなく、オフロードのライン取り方などの素晴らしい記事がアップされていますので 僕は毎回の更新が楽しみで読ませていただいています。)
せっかくIMPSさんが新型のエアロッカーの解説をしてくださっているのですから、弊社では ARBの公式ニュースリリースを要約してみます。
以下、翻訳です。
新型エアロッカー :
従来のエアロッカーケースは3ピース構造でしたが、2ピース構造にする事によって、耐久性とメンテナンス性を飛躍的に向上させました。 更に、内部パーツも殆ど新設計を施し、全体の強度も大幅にアップ、内部部品に至っては、2倍以上の強度を確保できたパーツもあります。
特許構造のTIMEDギア・クラッチ構造によって、ダイレクトにサイドギアをロックできる構造になり、従来型より素早くデフをロック出来るようになりました。
実は、このTIMEDギアを加工できる工作機械は、世界中探してもありませんでした。 そこで、ARB社と工作機械メーカーで協力して エアロッカー用TIMEDギア製造専用の工作機械を開発しました。
従来型のギア・クラッチの隙間は 少なくとも3mmはありましたが、新型ではわずか0.5mm以内の隙間しかありません。
すなわち、ロックが素早く出来ることと、クラッチギアを動かす距離が減るので
「ロック時のコンプレッサーの圧縮エア使用量が少ない」
= 「コンプレッサーの再起動回数が減る」
となってます。
以上、ARBの技術解説書を翻訳してみましたが、やはりIMPSさんの写真入りの解説の様には、上手に解説できませんね m(_
_)m
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アウトバック : ジムニー用エアロッカー開発秘話 (その2)
事前に、それらをARB社に送る事も時間的にギリギリ出来たのですが、 ARB社と会議をする上で、その場で3台分デフ&キャリアを ”ドカン”とテーブルに載せた方が、インパクトがあるだろうと考えました。
しかしそれは、衣類などと一緒に、機内へとハンドキャリーで持ち込むという、大変な力仕事になります。
当然の事ながら、飛行場での搭乗手続きでは、超過重量で料金交渉があり、X検査で怪しiい物と疑われ、いつもより面倒な搭乗手続きとなりました。
出発地の日本で、すでにこういう状態ですから、到着時のオーストラリアの税関で ”これは何か?” の質問に始まり、”泥が付いてないか” のチェックまで、入念に1時間半以上チェックされ、
税関のカウンター前で、貴重な時間を費やしてしまいました。
(オーストラリアは動植物の検疫が厳しく、泥の持込みも厳しく監視されます。)
運悪く、数日前に日本人が この空港で薬物持込みで逮捕された事件があり、スーツケースの隅々までも、X線検査も受けるはめに。
大変な入国検査になると予想はしていたので、最終的にはエアロッカーのカタログを見せ、オーストラリア製品の開発のためだと説明しようと、ARB社のカタログを事前に持って来ていたのは正解でした。
結局、”オーストラリア製品をプローモーションしているイイ奴だ” と誉められ(笑)、開放されました。
(当時のARB本社 2階の景色の良い所が社長室)
空港からARB社に直行し、直ぐにARBの社長と面談となりましたが、パートナーのARB・USAのエンジニアが、なんと急遽欠席。 結局、援護射撃無しで、僕とARB社長と二人だけの交渉となってしまいました。
まずは大きな会議用テーブルに、持参したノーマルのデフ&キャリアを ”ドカン”と乗せ、ARB社長と二人っきりで、ジムニー用エアロッカーを開発して欲しいと直談判に成りました。
ARB社長が 日本での要望が高まっている事を察してくれて、秘書にARB本社・エアロッカー・チーフエンジニアを部屋に呼ぶように伝えました。 (その後、チーフエンジニアは雑誌の取材中にも関わらず、社長室に飛び込んできました。)
(ARB社のエアロッカー開発現場)
以前、このエアロッカー開発責任者からは、ジムニー用のエアロッカーは、小さなデフにARBの基準の強度を持たせるのは技術的に大変だし、全ての工作マシーンを特別に準備しなくてはならない等のネガティブな話をしていたので、一瞬僕は、消極的な悪い展開を予想してしまいました。
彼が部屋に入って来るやいなや、ARB社長が、
”君の実力なら、ジムニー(サムライ)用エアロッカーを作れないわけ無いだろ?”
とエンジニアのプライドをくすぐる様な聞き方で、彼に質問を投げかけました。
ARB社長の人事マネージメントの上手さを、改めて感じた瞬間でした。
社長からこういう風に質問されたら、消極的な回答は出来ませんよねw
今まで個人的に話した時は、あれだけ消極的だったチーフエンジニアが、二つ返事で”出来ますよ” って言うんですから。
これで、技術的な問題は一つクリア。
その後は、数量的にどれくらい購入できるかという話になりましたが、ジムニー用エアロッカーが売れないと弊社が潰れる、というぐらいの大量発注の約束をしてきました。
(倉庫 その1)
(倉庫 その2 キャノピー専用)
数ヶ月して、1個の試作リア・エアロッカーが到着した時には、本当に感動しました。
弊社に社有車のジムニーが無かったので、困っていた所、パソコン通信・NIFTY繋がりの方が、テスターを申し出てくださいました。
テスターの方の詳しいレポートには、実際には決して行わない様な過酷なテストまで再現して下さった事が、詳しく丁寧に書かれていました。
そのレポートは、現在も大切に弊社で保管させて頂いていますし、ARB社でもこのレポートが貴重なデータであるとして、感謝されました。
このフィールドテストレポートとARB本社でのテストを共に終え、最終仕様を反映させたジムニー用エアロッカーが、ついに1999年8月、販売開始となったわけです。
当時、たくさんの方からジムニー用エアロッカーの販売に喜びの声を頂き、ご注文も頂きました。
僕としては、ジムニー用のエアロッカーは、多数の日本マーケットのユーザーの声があったからこそ、開発されたのだと思っています。
おかげで、その声をARB社に届ける事が出来ました。本当に良かったと思います。
当時ご協力いただいた多くの方々に、改めて感謝を述べさせて頂きたいと思います。
結局、ARB・USA支店は、何も関与しないで、サムライ用エアロッカーを手に入れた様な状況になっていますが、当時、米国ではサムライの横転問題が叫ばれて、サムライの販売台数が激減していました。 それゆえ、マーケティング上、日本主導でジムニー用エアロッカーの開発を進めて欲しかったのではないかと、後で気が付きました。
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アウトバック : ジムニー用エアロッカー開発秘話 (その1)
日本でクロスカントリー4x4が業務車としてのみ認知されていた1980年代初頭、
ARB社では既に、エアロッカーを販売していました。
そして弊社がARB社と取引することとなった90年代初めには、ほぼ全てのメジャーな4x4用に対して、エアロッカーの設定が存在していました。
当時ARB社には、日本マーケットも含めて世界中から、ジムニー用エアロッカーの問い合わせが多く寄せられていたそうで、 弊社もARB社に再三、ジムニー用エアロッカーの開発を打診していましたが、なかなか良い返事を頂けませんでした。
しかし、転機は 1997、1998年に2年連続で 千葉県・天津小湊で開催された
The King Of Crosscountry Adventure Championship In F2
Kominato (CAC)
でした。
当時、日本では珍しい大規模なクロカン・アドベンチャーレースで、車種制限の無い(ナンバー付き)の3台1組でまる2日間(=徹夜で)、オフロードセクションを競い合うという大会でした。
(詳しくは、”CAC 小湊 F2” でWEB検索頂くと、たくさんヒットします。)
激戦の中、弊社のサポートするチームが、2年連続優勝チームを含めて上位を占めることが出来ました。
ちなみに優勝チーム車両は テラノ、LC60、LC70という3台の組み合わせで、前後エアロッカーを含め前後デフロック装着車でした。 (当時、パソコン通信ニフティーで結成されたチームです。)
当時は、純正を含めてクロカンでのデフロックの必要性が 現在ほど重要視されていない時代でした。
この勝利は、クロカン・オフロード界に大きな一歩を残した出来事、と言っても過言ではないでしょう。
現在なら おそらく3台とも前後エアロッカー装着のジムニー・チームが有利になるでしょうが、その当時はまだ、ジムニー用のエアロッカーが存在していませんでした。
弊社のサポートするチームが、優勝や上位を占める為には、ドライバーご本人たちのドライブテクニックはもちろんのこと、エアロッカーも大きな支えとなっていたと思います。
この大会中に、4x4IMPSの関根社長様がオフィシャルをなさっていたので、お話しする機会がありました。
”やっぱり、ジムニーにもエアロッカー欲しいよね”
関根社長様からも ジムニー用エアロッカーのご意見を頂き、開発にご協力を頂ける事となったのです。
さらに大会直後から、エアロッカーの設定に関してジムニーオーナーからのご要望が多く寄せられるようになり、いよいよジムニー用エアロッカーを、なんとしてもARB社に開発して貰わないといけないという状況になってきました。
偶然、ARBのアメリカ支店のチーフエンジニアから 直々に電話があり、彼いわく、
・ アウトバックがジムニー用エアロッカーを欲しがっていると聞いている。
・ 実はアメリカマーケットでも要望があるので、ARB本社に共同で、開発の働きかけをしよう。
・ 時期をあわせて一緒にARB本社に出張し、ARBの社長に直談判の交渉しよう。
そんなやりとりの結果ついに、
彼と日時をあわせてARB本社に乗り込む事になったのですが・・・・・・・・・・。
この続きは来週に。
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アウトバック : ARB・エアライン補修キット (エアロッカー用)
さて、みんカラショップの品物を増やしたいと思いつつ、疎かになっていましたので、昨日に続き、1アイテム増やしてみました。
ARB・エアロッカーを装着されている方にはお勧めの商品だと思いますので、ご検討ください。
この商品は 沖縄・離島以外の送料は無料にしています。
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最近、お客様から問い合わせで ”ARB・エアロッカーと模造エアロッカーは同じ工場で作られている。”
”模造エアロッカーのパーツは、実はARB社より供給されている。”
との情報が、まことしやかにネットで流されているが、事実かどうか確認のお電話を受けています。 しかしながら、
ARB社は、模造品との関わりは、いっさいございません。
また、 ”ARB・エアロッカーも、実は中国製だ” との怪情報がありますが、
ARB・エアロッカーのパーツで中国製を使用しているのは、電源ワイヤーハーネスを車体に縛りとめる為に付属している数本の、”結束バンド(タイラップ)だけ”です。 (ON・OFFスイッチは大手自動車用スイッチメーカーから納品されていて、スイッチの構成部品単位での生産国は不明です。)
重要なパーツは全てARB社で自社生産しています、ご安心ください。
今後、上記の様な根拠の無い庇護流言を流布するソースが特定できましたら、法的な対処をとる事を検討しています。
模造品に関しての情報は弊社ホームページに記載していますが、下記にも引用させてください。
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(以下 弊社ホームページより)
近年、工業製品の模造品問題が取り上げられていますが、豪州ARB社、ラクソン(サファリ)社製品などにも模造品が現れ始めました。
これら模造製品は、中国とインドで生産されているようですが ARB社やラクソン社の特許を無許可で使用しているどころか、機能、耐久性にも著しい劣化品と確認されています。
特に、日本国内でもインターネット上でのネット販売やオークションでARB・ラクソン社製品の模造品を販売している業者がいるとの情報を聞き及んでいますので、弊社製品にご興味ある方はご注意ください。
ご購入時の価格の安さに惑わされてしまいますと、後にメンテナンスや修理で大きな出費が必要になる危険性が高いです。
また、模造品を購入したユーザーからの正規スペアパーツ購入したいとのご相談はお受けかねます。
今後、メーカーサイドで各国の正規代理店と協力して、全世界的に法的手段を検討しています。
ARB社では 実際にエアロッカーと模造品の耐久試験も行っており、その状況を動画サイトにて公開配信していますので御紹介いたします。 この動画を見ていただければ、正真正銘のエアロッカーと模造品との違いをご理解いただけると思います。
ARBで実践したエアロッカーと模造品の比較動画
(ARB社は模造品との条件を敢えて、同一にするために現行の2分割タイプで無く、旧型の3分割タイプのエアロッカーを実験で使用しています。
(新型2分割タイプは3分割エアロッカーより更に強度が増しています。)
また、切削表面も非常に荒く、これは性能の悪い加工機械しか使用していない事を意味します。
質の悪い機械加工しか施されていないため、模造品は製造誤差が大きいため、リングギアの取り付け精度が悪かったり、デフ内部のサイドギア・ピニオンギアのバックラッシュが大きく、ノイジーである上に、瞬発トルクに対して非常に弱い特徴があります。 当然、異常磨耗も発生するので、デフ本体以外のパーツにもダメージを与えてしまいます。
エアロッカー内の重要な部品・サイドギアの画像
ARBエアロッカー
模造品
模造品はARBエアロッカーの様な高度の熱処理・機械加工が行われていません。
今後、もし、ARB・エアロッカーに関して、正確な情報が必要な際は このページをトラックバック頂いても結構です。
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