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人に歴史あり 002

昨日のブログ ”人に歴史あり”の続きです。
正直、このタイトルは恥ずかしいので 換えたいのですが、いいタイトルが思いつかないので使います。

今回は内装の話をします。
内装と言っても、運転席&助手席周りですが、 このデザインも初期のクレーモデルから見させて頂いて、当時、若造の僕の生意気な発言を真剣に考えてくださったデザイナーの方々には 今、振り返れば頭が下がります。
初期のクレーモデルは パジェロの特徴とも言える三連メーター傾斜計がスピードメーターとタコメーターの間の一等地に鎮座していました。  ”従来の運転席と助手席間のダッシュボード上では見えずらいでしょう” と言う考えからでした。 
当然、パジェロで実際にオフロードをガンガン走っているメンバーは大反対。
実際走っている時に、傾斜系を見ますか?  傾きを判断するのはドライバーの感性が一番です。
じゃ、なぜ、パジェロの3連メーターはL系パジェロで人気があったか?
それは、パジェロに乗った時に、ドライバーに限らず、パッセンジャー(同乗者)に乗用車とは ”何かが違う” を感じさせる重要アイテムなんです。
(三菱パジェロのカタログより)

そして、初期デザインでは 助手席コンソール上のアシストグリップ(横棒)が廃止され、 更に、トランスファーレバーも廃止されていました。  (僕のL系パジェロは機械式ウインチのレバーを含めて シフトレバー、トランスファーレバーと 3本のレバーが ニョッコリ生えていて、マニアック過ぎてお気に入りの場所でした。)

これもオフロード好きのメンバーからは 猛反対意見が出てきました。
やはり、内装にも乗用車とは違う4WD独特のアイデンティティーを残すべきだと言う考えです。  (もっと話したいけど、きりが無いのでw)

最後まで大モメだったのが、外装のルーフドリップ(雨どいの様な物)を残すか、廃止するかという問題。

僕の考えは、4WDには デザイン上の ”隙” を残して置かなければならない。
その”隙”を利用して、ユーザーは車をカスタマイズする楽しみを得る という考えを主張し、ルーフドリップの存続を主張しました。

デザイナーは完璧な商品を作りたいし、 営業部門はルーフドリップを廃止したデザインだと 近代的で 価格を数万円多く載せて車両価格が設定できるという意見で話し合いは混沌とした状態でした。

そして、そこからの折衷案で 2ドアはルーフドリップ無し、4ドア車はルーフドリップモールありと言う形でまとまりました。

V系パジェロ発売当時の4WD業界パーツメーカーさんには この4ドア車のルーフドリップのお陰で、アフターマーケットでルーフラックを沢山販売できて、儲かった所もあるんでしょうね。

2年間ほど、こう言った会議が行われて、デザイン決定して生産・実験部門に開発は引き継がれて 僕たちの特命チームの活動は終了。

丁度、その頃、上司から ”君は自動車メーカーで一番、楽しい仕事をこの若さで出来て幸せだと思う。” と言われてハッとしました。
学生時代から、自動車関連産業の中で、自分の足跡を残したいと思っていたので、この辺が自動車メーカーでの潮時かと考えて、退社を決意して、次のステップ、自動車関連の輸出入業務を学ぶ目的で 某大手商社の自動車部に移籍することになりました。 

三菱自動車での経験は 今の僕の大切な部分であり、今後、どんな進化したパジェロが発売されてくるか、興味あります。  自動車は その時々の時代が反映されている鏡だと思っています。   今の時代に、ルーフドリップ、助手席アシストグリップを残すという考えは古いかも知れませんが、せめて トランスファーレバーだけは4WDからは取り上げないで欲しいと考えています。

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